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「国宝」にハマった人におすすめ!次に見るべき歌舞伎系の映画

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映画『国宝』を観て、心を揺さぶられた方も多いのではないでしょうか。

芸の道に生きる主人公の姿、舞台に賭ける情熱、人間関係の機微…そのどれもが濃密で、目が離せませんでしたよね。

もしあなたがまだなら‥「国宝は見るべき!」と言いたいです。

筆者である私は、映画館に2回足を運び鑑賞しましたが、同じく2回3回と観た人も多いのでは。

菊久雄役の主演、吉沢亮さんや横浜流星さんなど俳優の方々の熱量やその世界観に感動してしまい、2回目を観ずにはいられませんでした。

この記事では、私のように『国宝』の世界観の熱がアツく伝播して余韻が残っている人にぜひ触れてほしい、歌舞伎にまつわる映画をご紹介します。

華やかさの裏にある厳しさ、受け継がれる技と葛藤、人の心を揺さぶる舞台の力…さまざまな角度から「歌舞伎の世界独特の世界観」を感じられる作品ばかりです。

さっそく、順に紹介していきますね。

歌舞伎の関連映画5つ

歌舞伎の世界に触れることができる映画は、国宝だけではありません。

他にも色々と名作があるので、ここで紹介しておきますね。

どっぷり歌舞伎に浸かることが出来る作品から、歌舞伎の世界のなかで巻き起こる現代風のストーリーを描いた作品まで、色々とあります。

中には原作が小説になっている作品もあるため、小説がある場合はそちらも合わせて紹介していきますね。

ちなみに「国宝」も重厚な小説が映画の原作になっています。

シネマ歌舞伎シリーズ

実際の公演を映画館で楽しめる“シネマ歌舞伎”は、歌舞伎初心者にも入りやすい入口。

舞台の臨場感や細やかな表情を、映像だからこそ味わえるのが魅力です。

演目の美しさや役者の所作を大きなスクリーンで体感できるのが醍醐味で、代表作には『京鹿子娘五人道成寺』や『連獅子』、名作『女殺油地獄』などがあります。

『女殺油地獄』の物語は、大阪の油屋を舞台に、放蕩息子・与兵衛が金に困って起こす惨劇を描いたもの。

殺しの場面は凄絶でありながらも、どこか美しさが宿っていて、見る者の心に残ります。

歌舞伎の古典を「映像」として味わってみたい人、演技や所作の細かさに注目したい人にはぴったりの一本です。

出演俳優:市川海老蔵(与兵衛)、中村梅枝(お吉)ほか

公開:2012年(シネマ歌舞伎上映)

Over Your Dead Body(喰女-クイメ-)

歌舞伎『四谷怪談』を上演する劇団の稽古場で、役と現実の境目があいまいになっていく…そんなゾクッとする展開がクセになる、サスペンス色の強いストーリー。

恋愛・嫉妬・執着がじわじわ滲んで、後半にかけて一気に不穏さが増すタイプの物語。

演者たちの裏側の人間関係も絡んでくるので、稽古場ものが好きな人にもおすすめです。

出演俳優:市川海老蔵、柴咲コウ、伊藤英明、仲西未帆など

公開:2014年

原作: 山岸きくみの小説『誰にもあげない』が元になっている映画です

雪之丞変化(1963年/市川崑監督)

美しい女形の役者が、過去の因縁に向き合っていく復讐劇。衣装や所作の美しさ、そして映像としての格調高さが際立ち、まさに“映画で観る歌舞伎”といえる一本です。

歌舞伎の女形・中村雪之丞が舞台の裏で復讐の機会をうかがう、粋で艶のある復讐劇。

一見優美な世界の中に、緊張感と策略がじわじわと潜んでいて、そこがたまらない。

美しい所作と冷静な計算、その両方が同居する主人公に目を奪われる。

歌舞伎の“見せる美”を通して描かれる、静かな怒りと誇りが沁みる一作。

出演俳優:市川雷蔵、藤村志保、山本富士子など
公開:1963年

原作: 三上於菟吉による新聞連載小説が基になっており、上下巻の文庫本としても出版されています。

Beauty(2009年)

昭和初期の雪深い村を舞台に、地域に根づく芸能としての歌舞伎が、子どもたちや大人たちの心をつないでいく。
舞台の華やかさではなく、“暮らしの中にある芸”を丁寧に描いた、じんわり沁みる作品です。

自然や季節の移ろい、村人たちの素朴なやり取りの中に、人と人とのつながりが浮かび上がります。
「見せるための歌舞伎」ではなく、「生きるための歌舞伎」がテーマなのも印象的。

出演俳優:西島秀俊、門脇麦、佐藤浩市など
公開:2009年

Momijigari(紅葉狩)

1899年に撮影された、日本映画史の超初期を飾る一本。

市川團十郎と尾上菊五郎の競演による舞台がそのまま収められていて、映像のはじまりと歌舞伎の格式が一度に味わえます。

舞台上の動きはもちろん、当時の所作や表情がそのまま映像に残っているのが貴重すぎる。

“見る”より“感じる”に近い体験ができる短編です。

出演俳優:九代目市川團十郎、五代目尾上菊五郎
公開:1899年(撮影)

国宝は、小説もすごい!

映画を観たあと、喜久雄(吉沢亮)と俊介(横浜流星)の心の奥にもっと触れたくなったら、原作を読んでみてください。

原作小説『国宝』には、映画では語られなかったふたりの歩みや、舞台裏の静かな葛藤が、丁寧に描かれています。

たとえば、喜久雄がまだ少年だった頃、はじめて歌舞伎の世界に触れたあの衝撃や、俊介と出会うまでの孤独な時間。映画では描写の少なかった彼の過去が、小説ではじっくりと浮かび上がります。

俊介との関係も、ただの同志ではなく、ときに複雑な感情が絡みあう相棒として描かれ、稽古の場面では互いにぶつかり合いながらも、芸の芯に向かっていく姿に心が震えます。

また、母・すみ江との関係、そして師匠との微妙な距離感など、映画では省かれた細部のエピソードが豊かに描かれ、喜久雄の人生がより深く、立体的に感じられるはずです。

さらに、原作小説では、喜久雄の芸の裏側にある“女性との関係性”も、映画以上に丁寧に描かれていて、彼らの心の機微も感じ取ることができます。

読んでいくうちに、あの舞台の空気、照明の温度、ふたりの視線の交錯までもが、ページの間から立ち上ってくる。

上下巻ありますが、読みはじめたら止まりません‥映画の余韻が残っているうちに、ぜひ手に取ってみてください。

さいごに

ここまで紹介してきた5本の映画は、どれも歌舞伎の奥深さや舞台裏の人間模様にふれることができる、見応えたっぷりの作品ばかりです。

特におすすめは、「シネマ歌舞伎」。

歌舞伎そのまんまを映像で楽しめるので、歌舞伎の世界をもっと知りたくなった人は満足できるはず。

『国宝』の映画に感動した方なら、きっとこの世界観の広がりをさらに楽しめますよ。

そして、もしまだ読んでいなければ、小説版『国宝』もぜひ手に取ってみてください。

映画では描ききれなかった登場人物の心の揺れや、舞台にかける執念、そして芸と人生が交錯する緊張感が、言葉の力でじっくり味わえます。

読み始めたら、あの世界にもう一度深く引き込まれること間違いなし。

ぜひ映画の余韻が残っているうちうに、上下巻そろえてじっくりと浸ってみてください。

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